ルマン24の優勝車TS050。このプラモデルはボディパーツが鬼分割で、どう作っていいか悩むだろう。また研ぎ出しはあきらめた方がいいです。なぜか?ポイントを書いておきました。製作の参考にしてください。
1.キットの特徴
トヨタはル・マン24時間レースで4連覇している(2021年時点)。年々改良されて形や塗装がちょっとずつ変わっている。このキットは2018年モデル。
キットはボディが複雑で上級者向けな感じだけど、ル・マンみて感動した人は製作チャレンジだ!
鬼のようなボディ分割!Fランナー(左)とAランナー(右)
塗装について
ウォルが一番気になったのは、このキットの塗装である。
必要な塗料は、基本的に白と黒である。赤はデカールで再現できる。
8号車は赤はデカール、7号車は、サイドミラーとワイパーの根元の小さなパーツは赤で塗装しなければならない。
またボディの黒も、光沢黒(グロスブラック)と半光沢黒(セミグロスブラック)で塗り分ける。
ホイール、シャフトなどに、ガンメタリック、やシルバーが必要。
研ぎ出しについて
このキットは研ぎ出しは困難なのであきらめた方が良い。
理由は複数のパーツ(カウル)にまたがって貼るデカールがあるから。
また、コックピットはシャーシ側でなく、カウル側に取り付ける。
カーボン
箱絵を見て、カーボン地獄か!と思ったけど、模様の入ったデカール付属。ちょっと安心。
補足 カーボン地獄とは
カーボンの模様を、別売りのカーボンデカールを自分で切り抜いて貼り付けたり、塗装で再現する、地獄の作業である。マクラーレンセナ製作時、地獄をたっぷりと味わったのだ。
一部、カーボンデカールが無い部分があり、細かくこだわる時は自分で作らねばならない。
マスクシール付き
塗り分け用のマスクシールが付属しているんだけど、切込みが入っていない・・・。
しかし、マスキングテープで塗り分けのラインを切り出すのは大変なので、かなりありがたい。
2.製作の方向性
ということで、このキットは、最初から研ぎ出し無し方針で行くのが良いのではないだろうか?
研ぎ出しはしないので、最初から光沢に気を付けて塗装するなど。
2回目を作るのであれば、何か工夫で研ぎ出しはできるかもしれない。
特に改造はしない。8号車を作ることにした。
7号車だと赤塗料を用意しなければならない。その塗料の赤の色味をデカールの赤と合わせることができるかどうかわかららず不安だったからだ。
3.製作
まずこのキット、まるでパズルになっているので、一旦何がどうなっているか、検討をつけてから製作しないとワナにハマる気がする。
3.1.仮組
ボディ分割がさっぱりわからないが、とりあえず裏を全部、水性つや消し黒で塗装した。
ポイント 小さいパーツは切り離さず、ランナーをつけたまま塗装時の取っ手としておく。
はみ出たらマジックリンで拭き取る。(水性塗料はマジックリンで拭き取れる)
骨組みの構造がF1などのフォーミュラーカーみたいだ。説明書見ていたら勘違いした。
気をつけろ。この図は左が後ろだぞ。
ボディ分割が鬼なので、一旦仮組してみないと、なにが何やらである。
テープでくっつけながら、ボディ部分だけ組んでみた。
3.2.ボディパーツの塗装
ボディは乾燥に時間を取りたいから、早めに塗装しておくことにした。
※この時点では、研ぎ出ししようかとも思っていたため。
コックピット横のカウル。ここを最初にマスキングしてセミグロスブラックで塗装。
再び組み立てる。この後、白→黒で塗装する。
最初にガイアのEx-01ホワイト(光沢)を塗装。
ん?埃が付いた。ピンセットで取ってみたが取れない。乾くのを待って800番で削ってみた。
ん?取れない。ルーペで拡大。
・・・?・・・!!!
こ、これって、埃じゃなくてモールドだあー!
↑ほら、形がふにょってなって、埃に見えるだろうが・・・。ヤスリ入れたけどモールドだった。
他のボディパーツも組んで白を塗装。
白で塗装した後は、さらに光沢黒と半光沢黒で塗り分ける。
これはボディ横のパーツ
マスキングシールが付属しているのでそれも併用する。
光沢で吹く場合のポイント
最初、希釈少し濃いめで色を乗せる、次に希釈を少し薄くして吹く、さらに希釈をかなり薄くして吹く。圧の高めのコンプレッサーでゆっくり動かして吹くと光沢になる。
圧が低かったり、ハンドピースを動かす速度が速すぎるとつや消し寄りになる。
注意点は、塗装のパーツとパーツの境目がピッタリ合うように、マスキングを注意すること。
ずれているとカッコ悪い。
3.3.コックピット周り
説明書だと、最初にここを作るようになっている。確かにここを作らないと先に進まないようである。
ボディの白黒塗装はしたので、コックピット部分を作る。
ウインドウ(透明パーツ)は汚したくないので、なるべく最後に付けたいが、後からはつけられないので、窓枠を黒で塗装し、先に付ける。
ウィンドウは汚したくないのでマスキングテープを貼っておく。
シートベルトはシートにデカールを貼っただけ。
コックピット周りは大体これで完成。
研ぎ出しどうする?
おわかりいただけただろうか?
シートやハンドルなどは、通常のカーモデルでは、シャーシーに取り付けるのが普通である。
シャーシを完成させて最後にボディをかぶせるのが一般的な作り方。
このキットはこの時点で、左右のウインドウも接着してある。
ウインドウは形ピッタリにマスキングして、光沢じゃない箇所をきちんとマスクして、クリア吹いて研ぎ出ししますか?
だけど、デカール貼ってないのでこの時点で研ぎ出しは意味が無い。デカールは他のパーツとまたがって貼るので、ほぼ完成状態でなければ、クリア吹き、研ぎ出しはできないのである。
3.4.リアフレーム周り
後ろの部分。真ん中の部分はカウルに隠れて見えなくなるので合わせ目消しはしなかった。
シャフトは、黒と銀だが、一部、メタリックブラウン。塗料がなかったので、シルバー→クリアブラウンで塗装した。
注意は、シャフト類を接着するときに、上、横、後ろから見て、斜めになっていないか確認する必要がある。曲がっていると、後でホイールが付かないことになる。
接着剤が半乾きの時に、曲がっていたら修正、ホイール部品が差し込めるのか確認しておく。
接着剤が完全に乾いてしまうと修正ができないので、半乾きの時に確認・修正することが重要だ。
3.5.シャーシ周り
工程17と18のアンダーパネルは、全てセミグロスブラックなので、組み立ててから塗装する。
横の部品を取り付ける。ここはブラック(光沢)とセミグロスブラック(半光沢)で塗り分けが指定されている。
ここで、車体部分が大体完成する。
横のアンダーパネルももう作ってあるので取り付ける。最初の塗装で出てきたこの部品。
ほら、クリア吹きとか研ぎ出しとかムリそうでしょ?
3.6.カウル
複数のパーツに渡って貼るデカールがある
2つ以上のパーツにまたがって貼らなければならないデカールが幾つかあるので注意。
リアカウル その1
HYのマークが入ったデカールは、A27とF2パーツを接着した後に貼らなければならない。
A27を接着しないで、うっかり赤デカールを貼ってしまったので、前にはみ出ている。
あわててA27を接着しなければならなくなった。
リアカウル その2
下写真の赤で囲ったところも、パーツにまたがって赤デカールを貼る。
フロントカウルのデカール
フロントカウルのデカールは、3つ以上のパーツにまたがって貼る。
F1とA32、アンダーパネルを接着したあとでないと赤デカールが貼れないのだ。
ヘッドライト周りの塗装組立
ヘッドライトのレンズは周りを黒で塗る。
上2段は添付のピカピカシールを貼る。下一段は裏からシルバーを塗装する。
黒の上に赤デカールを貼る指示があるけど?
フロントカウルの左右の翼?
フロントカウル左右の小さい翼のようなやつ。これは黒を塗装してその上に赤デカールを貼る指示になっている。
しかし、黒の上に赤デカールを貼っても発色しないんじゃないかと思ったので、黒を落とし、白の上に貼った。
やや後ろの両サイド
この部分もこのままでは黒の上に赤デカールを貼ることになるので、一旦白で塗装した。
塗装はできたけど、黒塗料の回り込みが発生。
回り込んだ箇所は、塗装した箇所とかなりかけ離れているが、
マスキングの隙間から、後輪タイヤのハウジングの穴を経由して回り込んだ模様。
マスキングして黒を塗装。
注意
デカールの上からマスキングテープを貼っているので、注意しないと、マスキングを剥がすときデカールごと剥がしてしまう。
対策は、デカールを貼る時、マークセッター、ソフターなどでしっかりボディに貼り付けておくことと、貼る前にマスキングテープの粘着力を弱めておく。例えばマスキングテープをどこかにペタペタ貼り付けたり、粘着面を指で触って弱くしておく。
(3)フロントにも塗料の回り込みが発生
フロントカウルにデカールを貼ったんだけど、隙間ができた。ここを黒で塗りつぶす。
※左の写真、デカール貼った直後なのでシワシワしている。
マークソフター塗ってあるから、時間たつと良くなります。
マスクして再塗装。これもマスク剥がすとき、デカールの剥がれに十分注意する。
結果、デカールは剥がれなかったけど、塗料の回り込みが発生。
下地の白はラッカー塗料、回り込んだ黒もラッカー塗料。すぐ近くにデカールがある。
ヤスリで削って再塗装できなくもないけど。
ウォルが取った行動は?
黒塗料が渇かないうちに、エナメル溶剤でこすって消す。これで綺麗になります。技あり
あまりやりすぎると下地の白も傷めてしてしまう。
また、完全に乾いたあとでも、やればある程度消せる。乾かないうちにやるのが理想。
従って、塗装したら完全に乾く前にマスクは剥がした方がよい。
ここまでの作業での全体写真。
手を抜かすに細部を塗装する
リアカウルの垂直ウイングの縁の部分だが、ここはデカールが及ばない場所であり、下地の白が見えている。
ここを水性塗料の赤で筆でチョンチョンと塗装した。
他にも同様に塗った箇所が複数ある。
上記写真は、フロントカウルの後ろ側。
他にもタイヤハウジングの縁の部分とか。
下手でも良いから、こういう細かいところを、きちんと手を抜かずに作業しておくことが、最終的な見栄えに影響すると思う。ポイント
できないことは無理してやらなくていいが、できることはちゃんとやっておけ、と言うことだ。
下の写真は、デカールとデカールの間に隙間(白)ができたので、赤で塗装した。
デカールの色と、塗料の色をピッタリ合わせるのはとても難しい。
赤にオレンジ混ぜようと思ったんだけど、オレンジ持ってなかったので今回黄色を混ぜた。
コツは、気持ちやや明るめに調色すること。
塗料は液体の時より、乾くと若干暗い色になる。ポイント
デカール貼り
細かいデカールを貼った。
側面下は、カーボンスライドマークを切って貼りました。
こんなところにも貼る、誰も気づかないと思われるデカール。ゲート跡より小さい。
ピトー管。
接着したら、重さで頭が徐々に下がって固まったように見えるかもしれないが違う。
取付角度がずれたのではなく、これが正しい取り付け角度!
風が真っすぐ管に入ることを考えるとこの角度で正しい。
4.完成
5.使用したもの
使用キット
使用したキット
2018年車モデル
↓こちらは、2019年車のモデル
使用塗料
□ボディ:Ex-01 Ex-ホワイト(G)
■ボディ:002 ピュアブラック(G)
■ボディ:セミグロスブラック(F)
■ボディ:X-7レッド(TA)+X-8レモンイエロー(TA)
■ホイール:X-10 ガンメタル(TA)、GX216 メタルダークブルー(C)、C8シルバー(C)
※X-10は粒子が粗いので、できれば他のガンメタルを使用した方がよい。
※(C)クレオス、(F)フィニッシャーズ、(G)ガイアノーツ、(TA)タミヤ・アクリル
A+BはAとBを混ぜて使ったことを示す。
その他
カーボンスライドマーク
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