1/144サイズのF-20タイガーシャークは、プラモデルではほぼ入手不可能ですが、FOXONEから発売されている、3Dプリンタキットを製作してみました。塗装はエリア88の風間真仕様です。
3Dプリンタキットは材質がプラでないので製作には注意が必要です。
1.使用キット
使用キットは、FOXONE製 F-20 Prototype No.1。
他に、Prototype No.2、3が販売されています。
おそらく、デカールの違いで形状は同じだと思われますが、購入してないのでわかりません。
※実機においては、F-20の1号機と、2,3号機では形状が若干異なります。(キャノピー形状、主翼翼端、)
・デカール添付
・パイロットフィギュア無し
・ミサイル添付(サイドワインダー×2、マーベリック×2、ハープーン×1)
・増槽タンク無し
UVレジン製(光造形)のキットなので、説明書の赤い色の部分を切り取る(あるいは削り取る)必要があります。
飛行状態と駐機状態が選択できます。今回は飛行状態としました。
2.3Dプリンタキットの注意事項
3Dプリンタキットだが、通常のプラモデルと材質が異なるので、扱いには注意が必要である。
材質が硬いので折れやすい
材質がUVレジンであり、通常のプラモデルのプラスチックより硬く、剛性が低い。
通常のプラモデルで使用されている、ポリスチレン(PS)は元々はかなり硬いが、扱いやすくするために若干ゴムの成分を混ぜてあるので、柔らかみがあり、多少曲げてもポキっと折れたりしない。
※プラモデルの透明パーツはゴムの成分は混ぜてないので硬く、力を加えると割れやすい。
なぜゴムを混ぜないかと言うと、ゴム成分を混ぜると透明で無くなってしまうからだ。
しかし、UVレジンは硬く、力を入れるとすぐにポッキリ折れてしまう!
特に、細い部分や薄くて平たい部分は、とても折れやすいので注意が必要だ。
接着は瞬間接着剤を使う
材質がプラスチックではないので、プラモデル用の接着剤ではくっつかない。
エポキシ系の接着剤でもつくが、瞬間接着剤が一番しっかりつく。
積層痕がある
3Dプリンタは、薄い層を何層も重ねていくので、重ねの積層の跡ができてしまう。
FDM方式の3Dプリンタだと特に目立つが、光造形タイプでもそれなりにできる。
塗装すると結構目立つので、綺麗に作りたい人はペーパー掛け(紙やすり掛け)して、均しておく必要がある。
塗装するとひび割れる(このキット独特?)
このキット独特の特徴だと思われるが、塗装するとひび割れが発生する。平面はひび割れないようだが、曲面がひび割れる。
ちなみに、自分の3Dプリンタでプリントしたものは、塗装してもひび割れないので、このキットの材質の特徴だろうか?
ラッカー塗料でも、ラッカーサーフェイサー(試したのは白、シルバー)でも、アクリジョン塗料でもひび割れる。水性ホビーカラーとエナメルは試してない。ただし、UVレジンは水と相性が悪いと聞いている。
ひび割れしない方法が見つからなかった。どうしてもひび割れるので、ひび割れた隙間にラッカーサーフェイサーを埋め込んで対処した。
3.製作
3.1.造形
サポート材を取り除く作業
まずサポート材を取り除かなくてはならない。説明書の赤で塗りつぶされた部分。
平たい部分は、プラ板を割るようにカッターで傷を入れて割る、ランナーのようなサポート材はニッパーで切り取る。
細かい部分の微調整は金属ヤスリなどで削り取る。
積層痕にペーパー掛けする作業
一旦薄く塗装してみるとわかるが、結構積層痕(縞々の模様)が目立つ。
塗装すれば目立たないかな?と思ったがそうはいかなかった。
これは凹凸なので、紙やすりでペーパー掛し平らにする。あまりやりすぎるとキットのモールド(スジボリの溝)まで消えてしまうので注意する。
合わせ目消しやパーティングライン消しと異なり、キット全体にあるので結構面倒。
狭い隙間などは、爪楊枝ヤスリを使う。
爪楊枝ヤスリ:紙やすりを小さく切ったものを爪楊枝の先に木工用ボンドなどで接着したもの
着陸脚カバーなど
飛行状態にするので、着陸脚のカバーパーツなどを接着した。
簡単にポッキリ割れたするので、自作した。
キットのパーツを使わず、パテなどで埋めた方が楽かもしれない。
透明パーツ(キャノピー)
キャノピーは透明パーツだが、本体と違ってやわらかい。
半透明で透明度がイマイチである。
削れば透明になるかと思って、スポンジヤスリで削ってみたら、破れてしまった。割れたというより破れた感じである。
破れたところを瞬間接着剤でくっつけたら、透明になった。
あれ?もしやと思ってラッカークリアで塗装したら、透明度が増した。
プラスチックほど透明ではなく、やはり積層痕があるが、まあいいとしよう。
3.2.下地
サーフェーサーを吹く(下地作り)
サーフェーサー(白)を吹いたが、ひび割れが発生した。
なんなのこれ?
自分の3Dプリンタで、造形物を出力したことはあるが、そのときは塗装してもひび割れしなかった。
サーフェイサーでも塗装でもどうしても割れるので、ひび割れの部分に筆で、サーフェーサーを埋め込んだ。
写真の白い部分が筆でサーフェイサーを塗った部分。
割れた部分をしっかり埋めて、塗装し直したら、表面が綺麗になりました。
おー。かっこいい~!
3.3.デカール
デカールの自作
さて。エリア88の風間真仕様で作るので、デカール類は自分で用意しなければならない。
A-oneのフィルム状のものと、デカールシールを使う。
Photoshopなどのお絵描きソフトでデザインし、インクジェットプリンタで印刷して貼り付ける。
下地が白タイプと透明タイプがあるが、使用するのは下地が透ける透明タイプ。
白タイプだとデカールの周りの余白が気になるからだ。しかし透明タイプだと白が表現できない。
インクジェットプリンタは白が印刷できないのだ。
従ってキットの下地を白として使う。
本体を白で塗装 → 自作デカールを貼る → 本塗装
の手順である。
普通は塗装してからデカールを貼るのが普通である。塗装は基本的にラッカーで行う。
デカールを貼った上から塗装してデカールが溶けないのか?
デカール前の下地作り
キットの方は、機体色のラッカー白で塗装しておき、念のため上からラッカークリアで保護しておく。
デカールの作成と貼り付け
フィルム状のデカールを印刷した。
機体の青は、クレオスのラッカー塗料C328で塗装する予定なので、デカールの色もできるだけC328に近づけておく。
インクと塗料で素材が異なるので、ピッタリ同じに合わせることは難しい。
デザインナイフで、デカールの絵ぎりぎりで慎重に切り抜く。
デカールを貼りました。
この上から、ラッカーで塗装すると、おそらくインクが溶けるので、アクリジョンのクリアーを吹いておく。ラッカークリアーでもちょっとずつ砂吹きすれば行けるかもしれないが、自信が無かったのでアクリジョンを使った。
ちなみに、水性塗料のクリアーでも良いが、アクリジョンにした理由は、この上からラッカーで塗装したいからだ。水性塗料の上にラッカーは塗装できないが、アクリジョンの上にラッカーは塗装できるからだ。
さらにその上にラッカークリアーを吹いた。
ここまでの状態
素材 → サフ(L) → 白(L) →クリア(L)→デカール→クリア(A)→クリア(L)
※L:ラッカー、A:アクリジョン
デカールの保護と白下地の保護(マスキング)
次に青をエアブラシで塗装したいのだが、白部分とデカール部分をマスクしなければならない。
白部分のマスク
ラインの部分は0.4mm幅のマスキングテープを使う。
0.4mm幅のマスキングテープが売っているのでそれを使うか、自分で0.4mm幅に切り出す。
0.4mm幅に切り出すには、INFINITY EASY CUTTING TYPEAを使うと楽である。
なお、細切りマスキングテープを貼る時、マスクする部分だけに貼って塗装すると、太さが均一にならないことがある。
なので、塗装する部分に一旦マスキングテープを貼り、そのテープの両側に沿わせて、マスク用のテープを貼り、最初のマスキングテープを剥がしてから塗装するとよい。
デカールのマスク
再びデカールの絵を紙かシール紙に印刷し、絵の形ピッタリに切り抜く。
工作用のりをつけて、ピッタリ重ねて貼り付け、カバーする。
このとき、前段階でクリアを吹いてあったことを覚えているだろうか?
これは2つ意味があって、一つは塗装後、マスキングを剥がすとき、デカールごと剥がしてしまうことを防ぐため。デカールよりマスクを貼ったのりの粘着力が強いと、マスクを剥がすときデカールから剥がれてしまう。
また、もう一つは、塗装がはみ出た時に、はみ出た箇所を消せるようにするためだ。
3.4.本塗装
青を塗装
さていよいよ、青を塗装する。
しかしここでもすぐには青を塗装しない。さらにクリアを吹いておく。
青を吹いた時、マスクの下から青塗料が潜り込んでしまうことがあるからだ。
これはマスキング塗装の常套手段である。これをやっても漏れることはあるが。
クリアー(L)→マスキング→クリア(L)→青(L)
※(L)ラッカー
青(C328)を塗装した。
ミスった部分の修正
塗装後、マスクはなるべく早めに剥がす。
初心者は塗装面に触ってしまい、指の跡が付いたりするので、しっかり乾いてからじっくり剥がした方が良いが、塗装面に十分注意しながら、すぐに剥がす。
マスクミスが発生した。白でなければならない箇所に青が付着している。
リカバーする手段は3つある。
①上から筆などで白を塗装する
②綿棒などにエナメル溶剤を付けて拭く
③紙やすりなどで付着した青を削り落とす(下にクリアー層がある場合)
①上から白を塗装して隠す。これは隠ぺい力の高い青の上に隠ぺい力の低い白を塗装することになるので難しい。また白で覆い隠したつもりでも、溶剤で溶けてきて青が浮いてくる可能性がある。
ここで、あらかじめ下地にクリアー吹いておいたかどうか、マスキングを乾かないうちに刃がしたかどうかが効いてくる。②や③の手段が使える。
②エナメル溶剤で青を落とす。ラッカー溶剤だと下地の白まで溶けてしまうのでできない。エナメル溶剤は乾かないうちに使えば、ラッカー塗料をある程度落とせる。力は微弱なので、何度もこすって取る。やりすぎると下の下地まで削ってしまう。
これが、乾かないうちにすぐにマスキングを剥がした理由である。
③紙やすりで削り落とす。塗装が乾いてしまったら、エナメルでこすっても取れない。下地にクリアーを吹いていれば、削っても青とクリア層が削れるだけで、その下の白塗装層に影響が出ない。
これが、下に一旦クリアーを吹いておいた理由である。
逆に青でなければならない箇所は、あとで筆塗りで修正しておく。
3.4.仕上げ
コックピット
キャノピー
キャノピーの枠をC328で塗装。
若干大きめに作ってあるらしく、赤の部分を削って、大きさを合わせる。
バックミラーも作ってみたけど、組み立てると見えなくなります。
HUD
0.3mm厚のプラ板でHUD作った。
透明部分は斜めに削って接着。
緑のキラキラテープ貼って、グリーンディスプレイ表現したが、イマイチか。
まあ、どうせ見えなくなる。
パイロット
パイロットはキットには未添付。3Dプリンタで作る。データはネット上からフリーのを探してきた。
小さいし、ウォルの3Dプリンタ2Kだし、知識ないし、上手く行かない。10個作って失敗8個、まあまあ2個くらい。
風間 真、塗装した。
コーションデカール
キット添付の水転写デカール、使えそうなコーションデカールを幾つか貼った。
デカールは絵の周りに切込みが入ってない。自分で綺麗に切り出さないとならない。
ピンセットで保持しながら、小さいハサミで余白を切る。紛失しやすいし大変である。
貼りました。
翼端ミサイル発射レールの自作
翼端ミサイル発射レール、写真部分。ここよく折れる。すぐに折れます。あ?思った瞬間折れてる。
ここまでに4回折れました。その都度瞬間接着剤でくっつけたが、そのうちに5回目になるだろうから、取り払って自作した。
1mmのプラ棒と、0.3mmのプラ板の組み合わせ。
ミサイル類
キットに添付のミサイルは、サイドワインダー、マーベリック、ハープーン。増槽タンクは無し。
サイドワインダーはJ型かP型だと思う。
やっぱり折れやすいので、別途市販のミサイルを買った方が良いかもしれない。
4.完成写真
F-20 1/144 完成写真
ミサイルの帯の色
黄色は火薬、茶色はロケットモーター(飛行する)が入っていることを表します。
すなわち、黄&茶の帯は実弾であることを表します。練習弾は青帯です。
キャノピー左のデカールは、心ある人には、S.KAZAMAと読み取れるでしょう(笑)
なお、窓枠のフチを黒で塗装しておくと、引き締まった感が出ます。
機体記号 RAAF F-048E の意味
RAAF リアル アスラン エアーフォース
F:担当セクション F=戦闘機
0:受領年度の下一桁 0=1980年
4:機体種類 4=F-5,F-20
8:所属部隊 8:エリア88
E:外人部隊(エトランゼ)
5.使用したもの
キット(amazonリンク)
FOXONE製、F-20 Prototype No.1
↓同等キット(たぶんデカールが違うだけだと思う。違ってたらごめん
塗料
〇サーフェイサー:Mr.フィニッシングサーフェイサー 1500 ホワイト ビンタイプ(C)
□白:031アルティメットホワイト(G)
■青:C328 FS15050 ブルーエンジェルスカラー(C)
■銀:C8シルバー(C)、 C61焼鉄色(C) <エンジン、バックミラー>
■黄:C4イエロー(C) <パーソナルマーク>
■赤:C68モンザレッド(C) <射出座席、パーソナルマーク>
■黒:C33つや消しブラック(C) <コックピット>
■灰:C13ニュートラルグレー(C)、C308グレーFS36375(C)<コックピット>
□クリアー1:Ex-03 Ex-クリアー(G)
□クリアー2:N30クリアー(A)
▽スミ入れ:なし
△ウェザリング:なし
※(C)クレオス Mr.カラー、(G)ガイアノーツ ガイアカラー、(A)クレオス アクリジョン
コメント
Neatly painted little model. It’s funny how much extra ‘life’ this manga gave the F-20 after the F-16’s parent company killed its sales prospects.