光沢塗装とつや消し塗装の仕方(初級)

模型製作技術
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プラモデル製作の塗装などで、表面処理が光沢とつや消しがあるが、光沢とつや消しについて考察しておく。この記事はどうすれば光沢になり、どうすればつや消しになるのかの理論編です。初心者向けの記事ですが、一部、中~上級レベルの内容も含まれています。

1.光沢とつや消しとは表面の状態による違いである

光沢(グロス)とつや消し(フラット)の違いは、表面の状態による違いである。

表面がツルツル(平滑)であれば、多くの光を真っすぐに反射するので、光って見える。
表面がザラザラ(凹凸)であれば、光が乱反射するので、光があまり見えず、つや消しに見える。

表面の状態による光の反射
表面の状態による光の反射

従って、光沢面にするには表面をツルツルにすれば良いし、つや消しにするには表面をザラザラにすれば良い。

2.光沢にするにはつや消しにするには?

表面の状態、ツルツル、ザラザラを変更すればよい。
これには工作で行う方法と、塗装で行う方法が考えられる。

2.1.工作(ヤスリ)で行う方法

工作で行う方法は、表面に細かい傷を入れるとザラザラ面(つや消し)になるし、表面を平滑になるように削れば(磨けば)ツルツル(光沢)になる。

ヤスリでつや消しにする方法

プラスチックの表面は通常ツルツルして光沢があるが、紙やすりなどで削ると傷がついてザラザラになり光沢が消える。

写真左:紙やすりで削る前のパーツ、写真右:紙やすりで削った後のパーツ

ヤスリで光沢にする方法

表面を高番手のヤスリなどで削って、傷を浅く小さくしていくと、表面がツルツルに近づく。
削ると言うより磨くイメージである。

800~1000番位まではつや消しな印象だが、4000~6000番以上まで磨いていくと光沢になる。

やり方は、240番~400番位でパーツの形状を整える。次にヤスリに番手を徐々に上げていく。
400番→800番→1000番→2000番→4000番のようにする。
400番の傷を800番で消し、800番の傷を1000番で消し・・・である。
一気に番手を飛ばして、例えば400番の次に4000番で削ってはいけない。
できないことはないが、時間がかかりすぎて、表面が綺麗になるまで、何十時間?何百時間?かかるかわからない。
少しずつ番手を上げて行くのが鉄則である

使用するヤスリの例

タミヤのフィニッシングペーパーが安くて使いやすい。
一番低い番手は180番(写真無し)で、一番高い番手は2000番である。

タミヤフィニッシングペーパー

2000番より上が欲しければゴッドハンドの神ヤス(スポンジヤスリ)を買うと良い。

ゴッドハンド、タミヤスポンジシート

タミヤのスポンジシートも最高3000番までであるが、神ヤスは、4000番~10000番の高番手シリーズがあり、表面がテッカテカになる。

2.2.塗装で行う方法

高番手で磨いていけば光沢になるが、全てのパーツを毎回、240→400→800→1000→2000→4000などとやるのは大変な労力と時間がかかりすぎる。従って、通常は240~400→800~1000番位までヤスったら、あとは塗装でツヤを出す(光沢塗装)のが普通である。
また逆に、塗装でツヤを消す(つや消し塗装)こともできる。

塗装で光沢にする方法

塗装で光沢にするには、光沢塗料を使う、リターダー入りの溶剤や遅乾性の溶剤で希釈する、塗装後クリアで塗装する方法がある。

光沢塗料を使う

塗料に光沢(グロス)とか、つや消し(フラット)とか書いてあるので、光沢と書かれた塗料を使う。
なお、半光沢(セミグロス)は光沢とつや消しの中間くらいのツヤである。

クレオス塗料、ブラック、つや消しブラック
クレオス、ブラックとつや消しブラック

写真左の塗料が光沢である。

リターダー入り、遅乾性の溶剤で塗料を希釈する

塗料を溶剤で希釈するとき、遅乾性の溶剤を使ったり、通常の溶剤にリターダーを入れて塗装すると、乾くのが遅くなる。
ゆっくり乾いていくと、その時間に表面がなだらかに平滑になって行くので、光沢が出やすい。

上記写真は、遅乾性の溶剤であるが、下記写真のように通常の溶剤に、リターダーを加えても良い。

ガイアノーツ、薄め液とリターダー
ガイアノーツ 薄め液とリターダー

リターダーは乾燥を遅くするための添加剤である。
必ずしもこれらの溶剤を使わないと光沢ならないと言うわけではなく、より光沢になりやすくなると言うだけである。従って通常の溶剤でも十分光沢にできる。

写真はクレオスとガイアノーツの標準的な、希釈溶剤。

クリア塗料で塗装する

表面がつや消しの場合でも、クリア塗料で塗装すれば、表面の凹凸を埋めて、なだらかにしてくれるので、光沢になる。

クレオス クリア、つや消しクリア

写真左が光沢クリア。

研ぎ出し

光沢塗料で塗装して、ツルツルしていても、よく見ると表面はうねっていて、柚子肌のようになっていたりする。さらにテッカテッカにするために、カーモデルなどでは研ぎ出しという作業を行う。

上級者向けになるのでここでは詳細は割愛するが、光沢塗装した後、高番手のヤスリで磨いたり、コンパウンドを使って磨いたりする。

光沢塗装からさらにコンパウンドなどで磨いて、よりテッカテカにする。

塗装でつや消しにする方法

塗装でつや消しにするには、つや消し塗料を使う、光沢塗料にフラットベースを加える、速乾性の溶剤で希釈する、塗装後つや消しクリアで塗装する方法がある。

つや消し塗料で塗装する

塗料に光沢(グロス)とか、つや消し(フラット)とか書いてあるので、つや消しと書かれた塗料を使う。

クレオス塗料、ブラック、つや消しブラック
クレオス、ブラックとつや消しブラック

写真左がつや消し塗料。

つや消し塗料は、通常の光沢塗料に表面を凹凸にする添加剤が含まれていると思われる。

ちなみに一般的に、つや消しは光沢より色合いが白っぽくなる

クレオス ブラック、つや消しブラック塗装
つや消しの方が色が白っぽくなる

写真のように同じブラックでも、つや消しの方が白っぽく見える。これは光が乱反射するからだろう。
しかし、光を反射せず完全に吸収してしまえば黒く見える。タミヤのXFシリーズがそんな感じである。

タミヤXF-1
タミヤアクリルミニ XF-1

タミヤのアクリルミニのつや消し塗料(水性)は、クレオスやガイアノーツのつや消し塗料に比べると、完全につや消しになり、表面がザラザラした感じで、白っぽくない。

クレオスC2,C33、タミヤXF-1
クレオスC2、C33、タミヤXF-1
塗料にフラットベースを加えて塗装する

表面を凹凸にする添加剤がフラットベースである。

クレオス フラットベース

メーカの説明に書いてあるが、通常の光沢塗料にフラットベースを20~30%くらい混ぜて塗装すると、つや消しになる。10~20%くらい混ぜると、半光沢(セミグロス)になる。

クレオス フラットベース説明文
フラットベース説明文
光沢+フラットベースの説明
光沢+フラットベースの説明

すでに説明したが、つや消しにすると、光沢より色が白っぽくなる。

クレオス フラットベース注意書き
フラットベース注意書き

これは、フラットベースの注意書きにも書かれている。

速乾性の溶剤で塗料を希釈する

遅乾性の溶剤とは別に、速乾性の溶剤があり、これを使うとつや消しになりやすい。
なりやすいと言うだけで、必ずしもなるとは限らない。
それよりも、つや消し塗料を使う、フラットベースを添加する、などの要素の方がつや消しになりやすい。

クレオス ラピッドうすめ液
クレオス ラピッドうすめ液

写真はクレオスの速乾性うすめ液だが、ガイアノーツからは速乾性の薄め液は発売されていない。

溶剤の種類よりも、他の条件で光沢やつや消しになりやすいので、基本的には通常の溶剤を使って問題ない。

初心者はアレコレ買うとお金がかかるので、すでに紹介した、これらの標準的な溶剤のみでも良いだろう。

つや消しクリアで塗装する

表面が光沢の場合でも、つや消しクリア塗料で塗装すれば、表面を凹凸にしてくれるので、つや消しになる。

クレオス クリア、つや消しクリア

写真右がつや消しクリア。

2.3.つや消しから光沢への変更は推奨しない

ここまでのまとめ

光沢にするには、光沢塗料を使い、リターダー入りの溶剤、遅乾性の溶剤で希釈する。さらには光沢クリアで塗装すれば光沢になる。

つや消しにするには、つや消し塗料、速乾性の溶剤で希釈する。さらにつや消しクリアで塗装すればつや消しになる。

つや消し→光沢への変更は推奨しない

つや消し塗料は、通常の塗料(光沢塗料)に表面を凹凸にするための添加剤(フラットベース)を加えたものである。すなわち、通常の塗料以外に、凹凸を出すためのつや消し材が含まれていると言える。

従って、つや消し塗装の上から光沢クリアを上塗りすれば、一応、光沢にはできるが、”つや消し材”が下層に残ったままなので、あまり推奨できない。

つや消しの表面にクリアを塗装した場合

クリア層は光を反射するが、つや消し層は光を乱反射するので100%光を反射しない。
完成品を光沢にするには、なるべくなら、つや消し層は作らず、プラの上に光沢で塗装し、さらに光沢クリア層を作る(つや消し材を入れない)ようにすべきである。

光沢にするならプラ表面もなるべく光沢(平坦)に仕上げておく

完璧に光沢にするなら、プラの表面も高番手までヤスり、凹凸を無くし、光沢塗料で塗装し、光沢クリアで塗装し、研ぎ出しする、である。
プラの表面に凹凸が残っていると、その上の塗料も凹凸ができるからである。

下地の凹凸は上の層にも影響を与える

従って下地処理は重要である。基礎がしっかりしていないとその上に家が建たないのと同じである。

トップコートする

完成品をつや消しにするなら、最初からつや消し塗装で行ってもいいし、光沢塗装からつや消しクリアでつや消しに変えてもよいが、最初は光沢塗装で行い、デカールやスミ入れなどした後に、つや消しクリアを吹くのが理想だろう。
なぜなら、デカールは表面が光沢でないと貼り付きにくいし、スミ入れも表面が光沢でないとスミが流れにくいからだ。

最後にエアブラシやスプレー缶でクリアを吹いて、つやを調整したり、塗装面やデカールを保護することをトップコートと言う。なお、トップコートは初心者は水性のクリアで行った方が良い。ラッカーだとデカールを傷めるからである。

トップコートスプレー缶
クレオスの水性トップコート

ラッカーでも十分注意すればトップコートできないことはないが、中級~上級者向けである。
やり方は、ラッカークリアを一気に吹き付けず、やや遠くからパラパラと軽く吹いて(砂吹き)し良く乾かす、を何度か繰り返す。そのあと、ラッカークリアを一気に吹き付けるようにする。

それで上手く行く理由は、軽く吹くとラッカー成分が少ないし、表面に着いた時点で半乾きになっている(次の章の説明を参照のこと)のでデカールをあまり傷めない。
その軽く吹いたクリア層が保護層となって、その上から、一気にラッカークリアを吹いても、下地(デカール層など)に影響を与えないのだ。
なお、溶剤はできれば、クレオスのうすめ液が良い。ガイアノーツの薄め液は強めの溶剤なので、下地への食いつきは良いが、逆を言えば、下地を傷めやすいということでもある。

3.筆塗りは光沢、エアブラシはつや消しになりやすい

塗装には、大きく、筆塗りで行う方法と、エアブラシで行う方法があるが、筆塗りだと光沢に、エアブラシだとつや消しになりやすい。これは意識しておく必要がある。

筆塗りは、液体の塗料を直接筆で塗るので、濡れたまま表面に付着する。乾くまで液体(塗料)が動いて、窪みを埋め、表面が滑らかになるので光沢になりやすい。

一方、エアブラシは、液体の塗料をミスト状にして噴射し表面に吹き付けるが、塗料が空中を飛んでいる間に多少乾くので、塗料が表面に付着したときには、塗料がそのままの位置で固定され、動かない。
従って、窪みが埋まりにくく、つや消しになりやすい。

筆塗りとエアブラシの説明図
筆塗りとエアブラシの説明図

従って、筆塗りでつや消しにしたければ、塗料にフラットベースを少し多めに入れて塗装したり、塗装したあと、缶スプレーなどでつや消しクリアを吹くと良いだろう。

逆にエアブラシはつや消しになりやすいので、光沢にするために考慮が必要である。エアブラシでの光沢、つや消しの調整に関しては別の記事で説明する。

4.紹介したもの

amazonのリンクです。

紙ヤスリ

タミヤ フィニッシングペーパー。
400番と800番はよく使うから、最低でもこの2種類は用意しておいた方がよい。

粗削り用に240番、光沢用に1000番、2000番もあるとなおよい。

これだけあれば十分である。

神ヤス(スポンジヤスリ)

ゴッドハンドの神ヤス。
全シリーズが1個ずつ入っているスペシャルセットがあるので、どれを買ったらよいかわからない初心者や、一通り欲しい人は、これを買うと良い。

低番手はタミヤペーパーでやるからいらんよ、高番手だけ欲しいと言うならこれ。

※初心者はタミヤのフィニッシングペーパー240~2000番があれば、神ヤスは買わなくても十分だと思う。

ラッカー溶剤

ラッカー溶剤は、下記のどちらかがあれば困らない。
基本的に、クレオスラッカー塗料、ガイアノーツラッカー塗料は、クレオスうすめ液でもガイアカラー薄め液でもどちらでも希釈できる。
初心者向けに容量の少なめなものを紹介しておく。

クレオス うすめ液

ガイアノーツ 薄め液

※遅乾性の溶剤や、速乾性の溶剤、リターダーなども売っているが、初心者は買わなくても良いと思う。それらの特殊溶剤は、まず上記の溶剤をある程度使いこなしてから買え。

トップコート(缶スプレー)

光沢クリア缶スプレー(水性)

つや消しクリア缶スプレー(水性)

初心者はプラスチック感を消したいと言う人が多く、光沢より、つや消しスプレーの方が人気が高いため、売り切れていることが多いので注意だ。
プラモデルに慣れてくると、逆にむしろ光沢塗装したくなるのだが・・・。

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