ずれにくいスジボリの方法とリカバーの考え方

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模型製作技術
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プラモデルでスジボリを入れる時、よく曲がったりずれたりする。人間なので仕方ないが多少でも良いやり方はあるのか?ずれたときのリカバーは?また、スジボリはいつの段階ですればよい?
ずれた?最初からタガネなど使うからダメなのだ!

1.ズレたスジボリの例

慎重にスジボリをしても、思わぬ方向にずれてしまうことがよくある。
手作業だし。ロボットじゃなく人間がやる作業だから不正確。仕方ないんだぞ。

大体、曲がったからどうだと言うのだ?
ズレたら修復すればよい。スジボリ失敗と言う人がいるが、なぜ失敗なのか?
二度と元に戻せないのであれば失敗と言ってもいいが。
どうってことはない。修復すれば良いのだ。修復してしまえば失敗ではない。成功である。

2.ズレにくい方法

とは言え、修復は手間だから、ズレないに越したことは無い。
じゃあどうするの?

2.1.軽い力で彫る(←まあ基本)

パーツにスジボリを入れている写真

軽い力で彫る

どのプラモデル工作の説明見ても、そう言われている。
力が入ると確かにズレやすい。
しかし、軽い力で彫るなら、果たして何十回、何百回繰り返し彫らなければならないの?ってなる。
ある程度溝ができてしまうと、溝に沿って進むので、力を入れてもずれにくい。
ところが油断は禁物である。
数回軽く引いたので、そろそろ力を入れてもいいだろうと思って、ちょっと力を入れた瞬間、ずれることが良くあるのだ。このあたりの加減はとてもむずかしい。

・深い傷であれば、パテなどで埋めなければならない。
・浅い傷であれば、ヤスリで表面を削って傷を消せばよい。

深い傷は面倒である。ズレてもなるべく浅い傷で済むようにしたい。
深い傷にならないためには、なるべく軽い力を心掛けなくてはならない。

どの記事見ても軽い力でと書いてある。じゃあ軽い力と言うのが完璧策なの?
このへんに触れられている記事は見たことがない。
ところがだよ、軽い力で引いてもズレることはある
素材が異なっている部分をまたがってスジボリを引くとずれやすい。

図1 異素材間でスジボリがはじかれる

パテで埋めた箇所の境目がわかれば、そこで細心の注意を払えば、なんとかなるかもしれない。
でも、サーフェイサー後で、どこが埋めた場所かわからなくなっているかもしれないし。

2.2.最初はズレにくい道具を使う(重要)

ズレやすい道具、ズレにくい道具がある。
最初はズレにくい道具で下溝(あたり)を作っておくことが重要だ。

道具でズレにくい順

道具は刃のついている方向に動きやすい。刃が薄いほうがズレにくい。

ずれにくい順

1.ナイフ(カッター、デザインナイフなど)
2.ノコギリ(エッチングソーなど)
3.針(ケガキ針)
4.キサゲ
5.タガネ、 チゼル

図2は、各道具がそれぞれ動きたいと思っている方向である。

図2 刃の方向に動きやすい

カッターやノコギリ系は、元々前後に動かして使うもので、刃が縦についている。だから、前後に動きやすく左右にズレにくい
※ノコギリ系は刃の幅がある場合はそれなりにずれやすい。エッチングソーなどの刃の薄いやつが良い。
針(ニードル)は本来の目的は穴を開けるものだから、あらゆる方向に動きやすい。従って、定規やガイドテープなどで方向を誘導してやる必要がある。
キサゲは刃が斜め、タガネは刃が横方向についている。なので横にズレやすい
元々、横に動きやすい道具をうまくコントロールし、なんとか縦方向に導いているのだ。

なので、キサゲやタガネは、あらかじめ下溝(あたり)を作っておいて、それに沿って動くようにしなければならない。だから下溝(あたり)を作っておくことだ大事だ。
一回でスジを掘ろうとしないこと。いくつかのステップに分けて実施すること。

道具を使う順

最初から、タガネ、チゼルを使おうとしないこと。

最初はズレないよう、ズレにくい道具であたりをつけ、最終的にタガネなどで自分が欲しい太さにするとよい。

平面だと針が使いやすいが、曲面だとカッター系が使いやすい。

平面の場合
図3-1 平面のスジボリ

補足
・②はキサゲでなく、紙やすりで軽く擦って、めくれを削り取っても良い。
・スジボリがV字で良ければ、②で終わり。凹形状にしたいなら、さらにタガネなどで彫る。これもいきなり太いタガネを使うとズレたりするので、細い物から太い物にステップアップようにする。

注:図1の異素材の複合品だと、①の段階でズレることがよくある。
なので最初はやはりごく軽い力が大事なのだ。もしズレても傷が浅くて済む。

曲面の場合

曲面だと最初に針(ニードル)は難しいので、カッターやノコ系で傷をつけるようにすると良い。

図3-2 曲面のスジボリ

補足
②の後は、紙やすりなどで軽く擦ってめくりを取る。キサゲでも良い。

注:①のカッターでズレることはまずない。②の針でいきなりズレることはよくある。
なので、針(ニードル)を使うときは、平面だろうが、曲面だろうが要注意だ。

カッターでスジボリ
カッターはずれない
異素材の複合品の場合

さて。異素材の時はどうした良いだろうか?図1の問題である。
曲面なら図3-2と同じ方法で良い。
平面は難しい。
針だとズレるので、やはりカッターやノコ系を使いたい。
ガイドテープだと、カッターを使うとガイドテープごと切ってしまうので、定規が良いだろう。

図3-3.異素材にまたがるスジボリ

プラとパテとの境目が一番ズレる危険性が高いので、局所的にプラとパテの境目をデザインナイフで傷をつける手もあるかもしれない。しかし、前後の溝ときれいに真っすぐ接続できるか?という課題がある。
はっきり上手い方法思いつかないが、やっぱり定規あててカッターを引くじゃないかな?

3.ずれた時のリカバー

人間がする作業だから、絶対ミスなしはありえない。ズレるときはズレる
ずれたらリカバーしなければならない。

軽い力で彫ったときであれば、傷は浅いので、ヤスリでヤスれば消える。
※模型界ではよくヤスるって言う。

いや、しかし、リカバーしなければならないと言うより、この後どうせ削るんだぞ?
ヒケ処理とかパーティングライン処理などのために。

傷が浅ければ、その作業で、ズレも一緒に消えてくれる。

技あり
プラモデルの表面には、ヒケ(わずかな窪み)があったりパーティングライン(プラの接合跡)があったりする。従って、表面処理するときにミスった傷も一緒にヤスリで削ってしまえば効率よい。

スジボリズレたパーツ

ズレたけど、どうせヒケを400番でヤスるので、400番以下の傷であれば一緒に消せる。

400番でヤスっているパーツ

400番でヒケもズレも一緒にヤスる。

400番でズレもヒケも消せた。

もし、このあと、うっかり軽く針で突っついてズレたりしても、
このあと600番でヤスるので、それが600番以下の傷であれば一緒に消せる。
さらにそれ以降、何かドジって傷つけたら、次は800番でヤスるので、800番以下の傷であれば消せる。

800番までヤスって表面を綺麗にしました。

4.まとめ:なるべく最初の段階でスジボリする

ヒケ処理する前にスジボリする

3章で説明した、ズレてしまったときのリカバーを考えると、表面処理する前の段階で、スジボリをしておいた方が楽である。
表面をツルツル綺麗にしてから、スジボリズレが発生すると再び400番くらいからやり直さなければならない。どうせなら、ヤスリ作業は一度で済ませたい。

あらかじめ彫り増ししておく

また、スジが埋まる可能性があるならそれを見越して、あらかじめ深めに彫っておく。

図4-1.彫り増しする

新しく掘り起こすよりは、今のスジを深く掘る方が楽である。

塗装前にスジボリしておく

塗装後にスジボリすると、一体になっている塗膜にヒビが入り、スジボリの周りまで一緒に塗装がペリペリ剥がれてくる。なので、塗装した後はスジボリしてはいけない。

図4-2.塗装後にスジボリすると塗膜が剥がれる

まとめると、なるべく早い段階でスジボリをしておいた方が良い。

いつスジボリするの?

整形※1→スジボリ→ 表面処理※2→塗装→スミ入れ の順。
※1 整形:合わせ目消し、パテ埋めなど(パテ、接着剤など埋める系)
※2 表面処理:ゲート処理、ヒケ処理、パーティングライン処理(ヤスリなど削る系)

5.登場した道具紹介

amazonのリンクになっています。気になる人はとりあえず買い物カゴに入れておく。

ケガキ針系

最初、同じくミネシマ製の安いスジボリライナーを買ったことがある。
でも針の先端の精度的にこっちの方が使いやすかった。

ノコ系

↑同じシリーズで、スジボリ用、カット用と言うのもあるけど、とりあえずこれで、カットもスジボリも万能。

↑タミヤのより厚みがあって頑丈なイメージ。頑丈なのでスジボリよりカット用かなあ?

タガネ系

BMCタガネが有名だけど高いんだよな。
あまり安物買ってもどうかと思うし、ファンテックあたりが、使いやすいし不満は無いし、おススメ。

↑とりあえず0.15mmは持ってた方が良い。その次に欲しくなるのは0.3mmかな。0.1mmも売ってるが折れやすいので要注意。ウォルは1本折ったので、今持っているのは2本目です。
別途ホルダー(グリップ)買うときは軸径は3.2mm
ホルダー使わず軸を直接手で持っても使える。←これで十分とおもう。

↑刃を複数所有するならあると便利。

キサゲ系

特に買わなくても困ることは無いと思うがあると便利。

きさげ、どれが一番いいかはわからないけど、これ使っているが全く不満は無い。

ガイドテープ

ガイドテープ色々あるけど、とりあえずこれが一番扱いやすい。

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