光造形3Dプリンタ Shadow 5.5S 感想

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機材
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5万円以下の3Dプリンタ(光造形タイプ)Shadow5.5を購入した。初めてだと、あらゆることがさっぱりわからない。本体以外に必要なものは?調整は毎回するの?臭いは酷いのか?サポート材ってなに?レジンはどの位入れれば良い?使ってみてわかったことが色々あるので(まだわからないこともあるが)、これから3Dプリンタを買おうと思っている人に役に立てばと思う。

Shadow外観

1.どの3Dプリンタを買えばいいのか?

購入した3Dプリンタは、QIDI TECH Shadow 5.5 S である。
趣味でプラモデルを作っているが、キットに添付されていない部品などを自作したいという理由である。

1.1. 熱溶解(FDM)か光造形(SLA)か?

3Dプリンタは熱溶解(FDM)と光造形(SLA)がある。熱溶解は樹脂(固体)溶かして積層し形を作っていく。光造形はUVレジン(液体)を紫外線で固めて造形する。UVレジンは嫌な臭いがするし、体にも良くないようである。また造形後、洗浄する必要もあるし、造形時間もかかる。しかし、精密さは光造形の方が上である。

目的は模型の補助部品の作成なので、精度や加工のしやすさが条件の最優先である。従って、最初から光造形を購入することにした。

1.2.どの光造形(SLA)を買うのか?

光造形タイプも色々売っている。5万円以下のお手軽クラスで、なるべく良さそうな装置はどれかと考えた。
安価な光造形でPhotonという機種をよく聞くが、他にもMARS(ELEGOO)、ELFIN2(NOVA3D)、Shadow 5.5S(QIDI TECH)など類似の装置がある。どれも中国製似たり寄ったりの造形性能のようだ。ならば何か特徴はないかと、コメントを見ていると、騒音よりも臭いが・・・というコメントを見る。なるほど一番の欠点は臭いか。さらに調べるとShadow 5.5S は臭いが少ないということが分かった。またShadowは、PhotonやMARSとほぼ同じ構造のようで、同じ部品を使えるようなので、Shadow 5.5S を購入した。

2.別途必要なものは何?

装置を購入しても、足りない部材があってすぐにプリントできないと残念である。最低買っておかなければならないものは何だろう?

2.1.装置に添付されているもの

まず、装置に添付されているものを紹介する。

マニュアル、道具類(スクレーパー、ドライバー)、USBメモリ、レジン、ゴム手袋、マスク、ストレーナー。

マニュアル
マニュアル

左から取り扱い説明書、トラブルシューティングガイド、位置調整ガイドが入っている。英語である。

スクレーパー

プリントした造形物をプラットフォーム やヴァット(後で説明)から剥がす道具である。金属製とプラスチック製がある。
プラットフォームから剥がすとき金属製、バットから剥がすときプラスチック製を使う。

スクレーパー
工具類

各部のネジを外したり調整したりするための工具。

添付工具
USBメモリ

16GBのUSBメモリ。この中に造形用のお試し用サンプルデータ、スライスソフトウエア、説明書(pdf版)、説明の動画などが入っている。

USBメモリ
レジン

お試し用のレジン250g

お試し用レジン
マスク、ストレーナー、ゴム手袋
マスク、ストレーナー、手袋

レジンはベタベタして石鹸で洗っても取れない。レジンやアルコールは臭いもする。このための手袋とマスクである。
ストレーナーは、レジンをこすためのろ紙である。余ったレジンを捨てるのはもったいないのでごみや塊などを取り除き再利用するため。

2.2.別途必要なもの

使用前にあらかじめ用意しておいた方が良いもの。

変換タップ

装置の電源ケーブルはプラグが3極なので、3極→2極への変換タップが必要。

キッチンペーパー、ティッシュなど

レジンやアルコールを拭き取るため。使い捨てのティシュ、キッチンペーパーなど。モデラーならキムワイプでもいい。レジンはベタベタしていて触りたくないので沢山あった方が良い。

キッチンペーパー
割り箸

プリントした造形物は乾くまではベタベタしているので、割り箸などで持つとよい。直接触らなくて済む。

アルコール(水洗いレジンの場合は不要)

造形した後、固まっていないレジンを落とすためにアルコールで洗浄する必要がある。無水アルコールでもイソプロピルアルコール(IPA)でも良い。作った造形物をアルコールに漬けるので、最低でも500mlはあった方が良い。ウォルはIPAの1リットルを買った。
なお、水洗いレジンだとアルコール不要だが、水洗いレジンは値段が高い。

IPA
タッパーなど

洗浄するときにアルコールを入れておく入れ物。 アルコール使用可の材質でなければならない。 材質がポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)のものを使うとよい。

紙コップ

右写真のようにストレーナーと紙コップを組み合わせて使う。レジンをこすために使う。

ニッパー

サポート材を切り離すときに使用する。プラモデルを作る人なら持っているはず。プラモデルのゲートカット用のような小さめが最適である。

ニッパー
UVライト(395nm)

プリント直後は完全に固まっていないので、 造形物を二次硬化させるために使用する。 波長が合っていないと固まらない。使用したレジンの箱に波長が書いてある。400nmと書いてあったので、395nmのUVライトを買うとよい。365nmのライトだと固まらない。
無ければ太陽光に当てればよい。

ゴム手袋、マスク

装置添付の手袋、マスクはすぐ使い切ってしまう。追加購入しておく。

ストレーナー

装置添付のストレーナーは10枚入っている。使い切ってしまうので別途購入しておく。ストレーナーは、細目、中目など目の粗さが色々ある。どれが最適かよくわからなかったが、中目を買った。使ったが中目で特に不満はない。レジンはブルドックソースのようなドロドロ加減で、細めでも良いかもしれない。

UVレジン

装置に添付の250gもいずれ無くなるので別途購入しておく。しかし250gあればある程度楽しめるので、すぐに買う必要はないと思う。

UVレジン

2.3.消耗部品類

すぐには必要にならないが、何度も使っているうちに傷んできて交換しなければならない部品類がある。ウォルはまだ購入、交換したことはないので詳しくはコメントできない。

FEPフィルム

ヴァット(vat)に貼ってある透明フィルムで、何度も使用しているうちに傷んでくるので、交換する必要がある。
恐らく数十回程度で交換する必要があるのではないだろうか?

LCD

LCDも劣化してくるらしい。おそらく数百回くらいで交換が必要になってくるのではないだろうか?

3.必要なソフトウエアとデータ形式

プリントするには、どのようなソフトウエアやどのような形式のデータが必要になるのか?

3.1.必要なデータ形式

必要な3Dデータは STL 形式である。
なお、3Dデータはサーフェイサーではなくソリッドである必要がある
サーフェーサーは面で構成されたデータで、ソリッドは中身が詰まったデータである。サーフェイサーデータでは上手くプリントできなかった。

3.1.1.フリーの3Dデータはあるか?

世の中に有志が作ったフリーのSTL形式のデータが色々ある。自分の好みのデータがあればそれをプリントするとよいだろう。

下記のサイトが有名である。
Thingiverse

3.2.必要なソフトウエアは?

3.2.1. スライサーソフトウエア (装置に添付)

stlデータをスライサーソフトウエアに読み込ませて、プリントする形式に変換する。Shadowで使用するスライサーソフトはChiTuBoxで添付のUSBメモリに入っている。PCにインストールすればよい。stlデータを ChiTuBoxに読み込ませて、スライス(出力)すると、.cbddlpという拡張子のデータになる。これを装置本体右横のUSBメモリスロットに入れて、プリントする。

ChiTuBox

設定で日本語化できるが、おかしな日本語訳になっている個所もある。

3Dモデルの大きさは自由に拡大縮小できるので、元データのサイズ(縦横何mmか?など)はあまり気にしなくてよい

サポート材

造形物はプラットフォームから、レジンを積層し積み上げていく形なので、
形状がオーバーアングルになっている場合は、サポート材をつけないと造形できない。

左図の造形物は、上に行くほど先細りになるので、サポートなしで造形できる。右図のように、この造形物を上下逆に配置した場合、赤で囲った部分は空中なのでプラットフォームにくっつけることができないので造形できない。従ってサポートを付加する必要がある。
サポートは、スライサーソフトで付加するよう指示できる。

サポートは、自動でつけることもできるし、手作業で自分好みにつけることもできる。

ChiTuBox

サポートの太さが、細い、中間、太いから選べる。
細いと造形ミスする可能背が高いので、中間以上の太さがおすすめ。

サポートの材質は本体と同じUVレジンである。目的は異なるが、プラモデルのランナーのような感じである。
このため、造形後、サポートを取り除く必要になる。ニッパーなどで切り取れば良いが、切り取り跡が残る。
プラモデルのゲート跡と同じである。従ってゲート処理が必要になる。

3.2.2.3Dソフトウエア

自分で3Dをデザインする場合は、3Dソフトウエアが必要になる。stl形式で出力できればどのソフトでもよい。

大きく分けると、CAD系のソフトとCG系のソフトに分かれる。
CADはメカなど正確な図面を書くソフトで、CG系はフィギュア系などの造形物をつくるのに適したソフトだ。

CAD系

Fusion 360、FreeCAD、など

CG系

Blender、Metasequoiaなど

4.使い方

4.1.各部名称

各部名称
装置本体とヴァット

ヴァット(vat):この入れ物にレジンを入れる。底には透明フィルムが貼ってある。
LCD:ここから造形物のイメージ画像をUVで照射し、ヴァット内のレジンを固める。
プラットフォーム(platform):固まったレジンは、プラットフォームに付着する。

エアフィルタ

装置後ろには、空冷ファンとフィルタがあり、これが消臭効果を高めているようである。

4.2.ゼロ位置調整は毎回必要か?

使用する前に、プラットフォームのZ軸(上下方向)の基準位置の調整をする必要がある。調整用のシートが添付されており、これを使用して調整する。

調整方法概要

装置添付の調整シートをLCDの上に置き、プラットフォームを固定しているネジを緩め、プラットフォームをぐらぐらの状態にする。説明書の方法でプラットフォームを下げていき、調整シートがぎりぎり引き抜ける高さに調整する。

※この時、プラットフォームが水平に対し斜めになっていると正しく調整できていないので、プラットフォームの傾きを調整しながら、高さを決める。

位置が決まったら、プラットフォームが傾かないよう左右を押さえながら、再びプラットフォームのネジを固定し、画面のメニューでSet Z to zeroを押す。(USBメモリ内に調整の説明動画が入っているので詳細はそちらを見てください)
ここが上下方向の基準位置になります。

調整は基本的に一度行えばよい。しかし使用しているうちに造形ミスなどで位置が狂ったりすることがあるのでその場合再調整が必要だ。

記憶場所が、ROMなのか、RAMなのかわからないので、長期間電源を入れないでおくと、設定が消えてしまうかどうかは不明。
ROMだと電源を入れてなくても設定は消えないが、RAMだとバックアップ電池(これがあるかどうかも不明)が切れると設定は消えてしまうはず。

4.3.プリント方法

プリントの仕方を説明した動画がUSBメモリに入っている。簡単である。
装置に装着したヴァットにレジンを入れておく。次にメニューのPrintから造形するデータを選んでボタンを押す。

ヴァットに入れるレジンの量は、ヴァット底の透明フィルムの透明が見えなくなる程度で良い。ヴァットになみなみと入れなくてよい。

造形中

紫外線は体に良くないので、赤いカバーはUV(紫外線)を防ぐカバーだと思われる。また埃も防ぐため、動作中はかぶせておいた方が良い。

造形中

※この赤いカバーはアルコール耐性は無い。アルコールで拭くと溶けます。
レジンがついてベトベトになったので、IPAで拭いたら溶けてきました

臭いはシンナーやアルコールのような刺激臭ではない。しかしプリントは数時間かかり、長時間嗅いでいると次第に気分悪くなってくるので、換気は良くしておいた方がいい。

造形物はプラットフォームにぶら下がって作られる。

造形完了

プリント完了したら、スクレーパーを使って造形物をプラットフォームから剥ぎ取り、アルコールで洗浄する。

アルコールの入ったタッパー

毎回新しいアルコールを使うのは勿体ないので、汚れてきたアルコールと、綺麗なアルコールに分けて用意する。最初汚れている方で一次洗いし、次に綺麗な方で二次洗いするとよい。

プリント直後はまだレジンが固まりきっておらず、柔らかいので、二次硬化させる。紫外線(UVライト)や太陽光に当てて固める。

ヴァットに余ったレジンは、ストレーナーでこして、ボトルに戻して再利用する。

ストレーナーと紙コップ、ヴァット

4.4.最大サイズは?

プリントできる最大サイズは、115mm横×65mm縦×150mm高さ

よくあるスケールモデルの縮尺だと、戦闘機だと1/144ができるかどうか?1/200くらいまでが無難。カーモデルだと1/43が最大。

4.5.プリントにかかる時間?

造形する大きさによる。1時間~10数時間。
特に高さがあると時間がかかる。

同じ造形物でも、左のように高さを押さえて配置すると、造形時間は2時間のように短くてすむがサポートが多数必要になり、切り取り跡処理(ゲート処理)が多数必要になる。右のように配置すると切り取り跡処理が少ないが、造形時間は8時間のように時間がかかる。

5.プリントしてみた

5.1.サンプルデータのプリント

装置添付のUSBメモリに、ぶたさんのサンプルデータが入っている。

ぶたさん

4cmくらいの大きさ。プリントするのに4時間かかった。

5.2.フリーのデータをプリントしてみた

Thingiverseにあったフリーのデータをプリントしてみた。

レンチ

レンチ、1.5時間。

リンカーンの像

リンカーン大統領の像。6時間。

ニミッツ級空母、約1/3000。2時間。左はサポート材がついた状態。右はサポート材をニッパーで切り取った状態。

戦闘機 1/350と1/700。4時間。 左はサポート材がついた状態。右はサポート材をニッパーで切り取った状態。

接着はできるか?

普通のプラモデル用接着剤ではくっつかない。
瞬間接着剤か、エポキシ接着剤で接着できる。

6.製品のリンク

Shadow5.5S本体

QIDI TECH Shadow 5.5 S 3D Printer, UV LCD Resin Printer with Dual Z axis Liner Rail, 3.5 Inch Touch Screen,Build Size 4.52″(L) X 2.55″(W) X 5.9″(H),Equipped with Friendly Resin

IPA

無水アルコールは高いのでIPA。1リットルくらい買っておくとよい。

ガレージ・ゼロ IPA 純度99.9%以上 1L イソプロピルアルコール 2-プロパノール イソプロパノール GZ901

ストレーナー

GGS ペイントストレーナー 中目 100枚入り

UVレジン

標準的なグレーのUVレジン500g。他にも異なる色や水洗いレジンなどもある。

ELEGOO 光造形3Dプリンター用 UVレジン 1000g 光硬化可能樹脂 3Dプリンタ向け (灰)

電源変換プラグ

エレコム 電源タップ 変換アダプタ 3ピン→2ピン アース付きコンセント T-H32

予備部材

LCD

QIDI TECHNOLOGY 5.5 Inch 2K LCD For Shadow 5.5S 3D Printer

Vat

QIDI Technology Resin Vat, CNC Aluminum Alloy Processing Surface Oxidation Treatment, with FEP Film and Steel Ring, Durable Metal Frame Resin Vat

フィルム

FEP Film for Shadow 5.5S 3D Printer

売り切れている。たぶん、PHOTONやMars用も使えるのではと思うが・・・

7.あとがき

自分で3Dデータが作れなくても、すでに有志が作ったフリーデータが多数あるので、それをプリントしているだけでも面白いです。
データを作っているのは海外の人(アメリカ人?)が多いので、海外で流行っていそうなデータが多いです。スターウォーズ系、スタートレック系のメカ、バットモービルなどよくありました。ウォーハンマー系のフィギュアも良くありました。ガンダム系は若干あり。萌え系のフィギュアも若干あり。ミロのビーナスとか、サグラダファミリアなどもあり。日本のモデラーさんが少ないのだと思いますが、仮面ライダーとかサクラ大戦メカなどは皆無な感じです。

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