【プラモデル】傷めないパーツの切り出し方法

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クリアパーツのランナーからの切り出し プラモデル初心者
この記事は約11分で読めます。
クリアパーツのランナーからの切り出し

プラモデルを作る上で、ランナーからパーツを切り出すとき、傷つけたり、えぐったりすると修復が厄介です。ミスしないようにするには、どうしたら良いでしょう?
さらに、どの方向からニッパーを入れると良いか、どの順番でゲートをカットすれば良いか、考えたことありますか?

1.基本事項の確認

1.1.各部名称の確認

まず、基本的な名称を確認しておきます。

ランナー各部名称の写真
プラモデル、ランナー各部名称

パーツ:作る時に使用する部品
ランナー:パーツ周りの枠の部分、もしくは枠全体
ゲート:パーツとランナーの間の細くなっている部分
ランナータグ:ランナーは複数枚あるので、ランナーを区別するための識別部分
ナンバータグ:パーツを識別するための番号

1.2.ニッパーについて

ニッパーについては、こちらの記事を参照してください。

2.基本は二度切り

2.1.二度切りの仕方

基本的にはランナーからパーツを切り出すときは、二度切りします。
一回では切り出さない方が良いです。理由は後述。

<やり方>
(1)パーツから少し離れたところを、ニッパーで切る
(2)残っているゲートを、ニッパーで慎重に切り取る

最後の写真では、わずかにゲートが残っていますが、後述するゲート処理で、より綺麗にできます。

※なお、このように箱の中などで作業した方が、切りくずが散らからなくて良いです。

箱のなかでゲート切り
箱の中で作業すると、散らかりにくい

2.2.一発切りしない方が良い理由

一発で切らない方が良い理由を説明しておきます。

2.2.1.パーツをうっかり傷つけてしまうリスクあり

ランナーには多数の部品がぎっしり並んでいます。
この状態ではニッパーを入れる方向が限定されるので作業しづらく、
うっかり、パーツを傷つけたり、えぐったりしてしまう可能性があります。

ランナーにニッパーを入れている写真

写真の場合だと、ニッパーを上下方向からしか入れられません。水平方向からニッパーを入れたいと思っても、周りのランナーが邪魔です。

無理して作業すると、パーツ表面にニッパーの刃が当たり傷が入ったり、最悪はこうなることも・・・。

パーツを切ってしまった
失敗例:パーツの端っこを切ってしまった!

うっかり、パーツごと切断してしまいました(泣)。
通常のニッパーではここまでミスしませんが、これは、薄くて切れ味鋭い片刃ニッパーを使いました。

2.2.2.パーツにダメージを与える(力がかかる)リスクあり

ニッパーの先端は三角形なので、カッターと違い、切ると言うより押し広げる感じなので、矢印方向に力がかかります。

一発切りでパーツにダメージ
パーツに力が直接かかる

一発切りだと、周りに多数のランナーやパーツが固まっているので、左右どちらにも力が逃げず、直接パーツに力が来ます。

二度切りの場合、パーツを押さえているのでパーツは動きませんが、切り飛ばすゲートはパーツの反対側に逃げて行くので、パーツへのダメージリスクを減らすことができます。

二度切りで力が逃げやすくなる
力が逃げてくれる

2.2.3.白化

ニッパーで切断すると、切断箇所に力がかかり、白化と呼ばれる現象が発生することがあります。硬いものを切るので、ごく小さなひび割れが無数に発生するのではないかと思います。専門家ではないのでよくわかりませんが、勢いよく切断した方が白化しやすい感じがするので、ゆっくり切った方がよいかと思います。

あとで切り取るゲートは白化しても良いですが、一発切りでいきなりパーツの表面が白化するのはありがたくないです。しかし、塗装するのであれば白化してもあまり問題ありません。
また、白くなるということは、白いパーツだと目立たちません。

2.3.見えない箇所なら一発切りでOK

組み立てた時、ゲートが隠れて見えなくなる場合は、一発切りでもOKです。
多少傷が入っていても見えなくなるので、サッサと切りましょう(笑)。

説明書を見ても、その場所が隠れるかどうかよくわからない場合もありますので、その場合は二度切りしておいた方が安全でしょう。

2.4.くさび型ゲートに注意

ガンプラは初心者向けを考慮されて作られています。初心者でもパーツを切り出しやすくするため、ゲートの形が色々工夫されています。くさび型ゲート、タッチゲート、アンダーゲート。

普通のゲートは立方体ですが、くさび型ゲートはパーツ側に行くほど細くなっています。
初心者でも簡単にランナーから(ゲートから)パーツが切り離しやすいように、という工夫です。

最近のガンプラは、ほとんどこのくさび型ゲートになっています。
初心者には切り取りやすくて便利なのかもしれませんが、二度切りする人にとってはやっかいです。

パーツ側の方に傾斜が付いているので、ランナー寄りを切ろうと思っても、ニッパーの刃が滑ってパーツ側を切ってしまうことがあります。
注意しないと、一発切りと同じになってしまいます。

ニッパーを逆向きに入れると言う手もあります。そうすることでパーツから離れた箇所を切断できます。

しかし、より太いところを切ることになるので、鋭利で非常に繊細なニッパーを使っているときは、刃を傷めるリスクがあります。

3.切り口を丁寧に仕上げるなら、ゲート処理

ニッパーだけで仕上げるよりもカッターナイフ(または、デザインナイフ)や、紙やすりを併用した方が、切り口(ゲート)が綺麗に仕上がります。

ニッパーで二度切りのときに、ちょっとだけゲートを残して切ります。
わずかに残ったゲートをカッターなどで少しずつ丁寧に削り取ります。
パーツまで削ってしまわないよう注意しながら作業します。

ニッパーよりカッターナイフ(デザインナイフ)の方が刃が薄くて鋭利なので、白化もせず、きれいに仕上げることできます。

下記写真の左がニッパーによるゲート処理、右がカッターによるゲート処理。

左:ニッパー、右:カッター

紙やすりについては、また別な機会に説明します。

4.どの方向から切断する?

一旦、パーツをゲートごと切り出したら、次にゲートを切る時に、好きな方向からニッパーを入れることができます。
では、どの方向からニッパーを入れたら良いでしょうか?

一般的に、ニッパーで切り出すとき、ニッパーの刃はゲートの長辺方向から刃を当てます。他のどのサイトでも同じように書かれています。


「〇良い例?」の方がより短い距離でカットできるので、パーツにストレスかかりにくい。

しかし、この「〇良い例?」の場合、別の危険が潜んでいます。
多くのパーツは、パーツの下にゲートがある、下記のような形をしています。

このとき、【図A】のようにニッパーが入れば良いですが、【図B】のようにニッパーが入ってしまう可能性があります。

切れ味の鈍いニッパーだと、切る瞬間 「あれ?」 いつもと違う抵抗、違和感を感じやめることがあるのですが、切れ味抜群のニッパーだと違和感も感じずに、容赦なくスッパリ切れます

実際パーツを切ってしまい、何度か泣いたことがあります。

自信がないと感じた時は「×悪い例?」の方が良いんじゃないでしょうか。

5.切り出し時、要注意なパーツ

切り出すときに、特に注意が必要なパーツもあります。

5.1.小さなパーツは紛失注意

小さなパーツはニッパーで切った瞬間、どこかに飛んで行方不明になってしまうかもしれません。
あらかじめマスキングテープなどをくっつけておけば、飛んでいくことを防止できます。

しかし、小さくて扱いづらいので、最初はランナーから大きく切り出して、改めてパーツを切った方が良いです。
ランナーごと切り出した状態は、ランナーが取っ手代わりとなり、この状態の方が塗装もしやすいです。

小さな部品を小物入れに入れる
小物入れに入れておく

また切ったら、紛失防止のため、小さな入れ物に入れておくと良いです。

スケールモデルだと、このような小さな部品が容赦なく並んでいたりします。

小さな部品
エデュアルド 1/72 MiG-21の部品

5.2.クリアパーツは割れに注意

クリアパーツは材質が硬いので、ニッパーで切ったとき、まれに割れる(ひびが入る)ことがあります。

元々これがプラ本来(PS:ポリスチレン)の硬さだが、これにゴムのような成分(ブタジエンゴム)を混ぜて少し柔らかく扱いやすくしたのが、通常の不透明なランナー。

従って、透明パーツは最初にニッパーを入れる時、パーツからより遠い位置で慎重にゆっくり切る。

ゲート処理は、カッターなどで削り取ると良い。

クリアパーツは硬くて傷つきやすいので、すぐに使わないならビニール袋などに入れて傷つきを防止します。

ガンプラのビームサーベルなどは、比較的柔らかい素材なので(実際触って見ればわかります)割れることはありません。ゴム成分を入れてあるので、透明度は落ちます。

5.3.細いパーツは折れに注意

スケールモデルなどでは、とても細いパーツがよくあります。
慎重に切らないと、当然折れやすいです。

ゲートより太いパーツは、通常通り切っても大丈夫です。

細いパーツ
ハセガワ製 1/72 ファントムの部品

この16番パーツは細いですがゲートよりは太いです。一番細い部分はゲート部分なので、 力がかかったとき、パーツよりもゲートの方が先に割れやすいです。
片方のゲートを切ったとき、もう一方のゲートが割れてそこが白化する可能性はありますが、パーツを折ってしまう可能性は低いです。パーツを折ってしまうより、白化の方がマシでしょう。

危険なのは、ゲートよりも細いパーツ。

細いパーツ
ハセガワ製 1/72 ファントムの部品

この21番パーツはゲートよりも細いです。かなり危険な感じがします。不用意にゲートをニッパーで切ると、おそらくパーツが折れます。
鋭利な、刃の厚みのなるべく薄いニッパー、例えば、アルティメットニッパーなど、でゆっくり慎重にカットするか、
一旦、ランナーごと大きく切り出しておいて、その後、ゲート部分をカッターやのこぎりで慎重に切った方が良いです。

細い部品
ハセガワ製 1/72 タイガーシャークの部品

この11番のパーツ、過去に2回切り出したことがあるのですが、2回とも折れました。
パーツはゲートより太いのですが、モールド部分が弱いため、赤の点線部分で折れます。

折れやすい部品
ハセガワ製 1/72 タイガーシャークの部品

この部品はまだ1回も折れずに切り取ったことがありません(笑)。
最難関の部品です。

6.ゲートを切る時の順番

ゲートを切る時の最適な順番はあるでしょうか?
これまでの注意事項に注意すれば、あとはどの順番で切ってもあまり変わらないのですが、ニッパーで切ったときにどの方向に力がかかるかを考えると、理想的な順番が見えてきます。

6.1.例題1

下記のパーツ、①と②はゲートが細く、③はゲートが太くなっています。
ニッパーでどの順番でカットするとよいでしょうか?

部品写真
HGUC 191 RX-78-2 GUNDAM

正解は①→②→③または、②→①→③です。先に③をカットすると、パーツが上方向に動くので、①②のゲートにストレスがかかります。①②のゲートは細く弱いので割れる可能性があります。

①(または②)をカットしても、③が太くパーツが動きにくいです。むしろランナーの方が動く可能性があります。②(または①)はランナーに穴が空いているので、その穴から割れる可能性があります。
細かく言えば②よりも①を先にカットした方が良いかもしれません。 ②の方にはナンバーフラグがあるため、①のランナーより、②の方のランナーが動きにくいからです。

ポイント:細いランナーから先にカットする(太いランナーは最後に)
ポイント:ナンバーフラグが無い方を先にカットした方が良いかも?

6.2.例題2

下記のパーツはどの順番でカットするとよいでしょうか。②が最も太いゲートで、①と③は同じ太さです。

部品写真
HCUC RX-78-2 GUNDAM

②は一番太いので一番最後です。では①と③はどちらを先にカットした方が良いでしょうか。正解は①→③→②です。
①の上の方にはパーツが無いので ①をカットするとランナーが動きます。③の下側にはランナーやパーツが密集していますので③をカットすると、パーツが上の方に動き①にストレスがかかることが予想されます。

実際には、この濃いグレーのランナーは弾力があり柔らかいので、どこから切っても問題ないと思います。

6.3.例題3

下記のパーツはどの順番でカットすればよいでしょうか。①が最も太いゲートです。

部品写真

①は一番最後です。②と③がどちらか?正解は、②→③→①です。

③を切ると、パーツが上の方に動きます。下にランナーや部品があるので下には動きません。すると①はゲートが太いので問題ありませんが、②はゲートが細いのでちぎれる可能性があります。

一方②を先に切ると、左にパーツが動こうとしますが、①のゲートが太いので左に動く力を抑制してくれます。そのため細い③のゲートにストレスがかかりません。

ポイント:真ん中のゲートは先に切らない方が良い。端から攻める。

6.4.例題4

写真の39番のパーツは、どう切ったら良いでしょうか。細いので折れやすそうです。

部品写真
1/144 ミレニアム・ファルコン

①→②か?②→①か?どちらも不正解です。

正解は、先に③④のランナーを切ってから、①②の順で切るです。
なんじゃそりゃー!ずるいー!と思いましたか。

先に①②どちらを切っても危険です。③④を切ってしまえば、次に①を切る時に力が下に逃げるのでパーツが折れません。先に②を切らない方が良い理由は、②を切ろうとしているときに、①に負荷がかかり先に①のゲートが折れるリスクがあるからです。

ポイント:ゲートの向きと垂直方向のランナーをあらかじめ切っておく

7.まとめ

プラモデルのパーツをきれいに切り取る方法を説明しました。
小さなパーツ、クリアパーツ、細いパーツは、切り出し時、十分注意しましょう。
パーツを傷つけたり、えぐってしまったりすると、できないことはありませんが、修復は厄介です。
修復などは、パテなどを使うので、そのような記事を書く機会説明したいと思います。

では、楽しきプラモデルライフを!

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コメント

  1. プラモ大好き より:

    自論ですが近頃私も気にしてる案件でしたのでコメントさせてください。

    >ニッパーの刃が滑ってずれる
    二度切りを前提とするなら平らな背の方をパーツに向けるのではなく腹の方をパーツに向けます。
    こうすることで(背をパーツに向けるのは傷が出来そうなどを考慮してのことだと思いますが)腹の部分はゲートを残す空間がありますしニッパーが滑る心配がありません。

    >どの方向から切断する
    自分は縦横どちらでもなく斜めにニッパーの刃を入れてます。
    そうすることで面に対してニッパーの状態を平行に保つことが出来て白化を起こすことも少なく、えぐり込む心配もないです。

    更にえぐり込みを防止するためパーツの表面ではなく裏面が見える向きでニッパーを使ってます。

    • woll woll より:

      コメントありがとうございます。
      腹向きにニッパーを入れるのはアリなので記事を修正しました。
      パーツの形によってニッパーを入れづらいときは、斜めにニッパーを入れることもありますね。
      ニッパーを使っている限り、縦でも横でも斜めでも白化は発生すると思います。